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運転手の休憩時間は法律上どうなってるの?待機時間と労働時間の関係

運転手の休憩時間は法律上どうなってるの?待機時間と労働時間の関係

運転手は、もともと長時間労働になりやすい仕事です。

当然、法令で定められた休憩時間をしっかりとるべきですが、お客様の対応や渋滞・荷待ち時間などがあり、満足に休憩できない場合があります。

 

休憩が満足にとれなければ、疲れが蓄積し運転に支障をきたすでしょう。

 

そこでこの記事では、

 

・運転手の休憩時間が法律上どのように定められているのか?

・運転手の休憩時間の問題点

・休憩時間の改善策

 

についてご紹介します。

現状、労働時間や休憩時間に問題を感じている方は参考にしてください。

 

 

1. 労働基準法における休憩時間のルール

 

まずは、労働基準法における休憩時間の基本的なルールを確認しておきましょう。

 

労働基準法第三十二条では、休憩時間を除き、1日8時間・1週40時間を超えて労働させてはならないとしています。

 

さらに休憩時間は、第三十四条で以下のように決められています。

 

労働基準法第三十四条

『使用者は、労働時間が六時間を超える場合においては少くとも四十五分、八時間を超える場合においては少くとも一時間の休憩時間を労働時間の途中に与えなければならない。』

引用|労働基準法

 

つまり6時間~8時間までの勤務で最低45分、8時間以上の勤務で最低1時間の休憩時間が必要になります。

 

ただし、長時間労働になりやすい運転手の仕事は、この労働時間に加え、やや異なる設定があります。

 

2. 運転手の休憩時間は法律でどう定められているのか

 

運転手は、長距離移動が伴うこともあり、長時間労働がつきものです。

そのため、一般的な労働者よりも長時間の労働が認められています。

 

また、運転手といっても働き方がそれぞれ異なるため、厚生労働省労働基準局では、職種ごとに労働時間の実態を考慮したうえで「自動車運転者の労働時間等の改善のための基準」を策定しています。

 

職種ごとの拘束時間と休憩時間・運転時間を確認してみましょう。

 

2-1. トラックドライバーの場合

 

厚生労働省労働基準局の「トラック運転者の労働時間等の改善基準のポイント」によると、トラックドライバーの拘束時間や運転時間は以下のように定められています。

 

【トラックドライバーの労働時間】

拘束時間 1カ月 ・293時間が限度

※労使協定により1年のうち6カ月までは320時間まで延長可(年間拘束時間は3,516時間を超えないこと)

1日 ・13時間以内※延長する場合は16時間まで

 

運転時間 1日 ・9時間が限度(2日間の平均)
1週間 ・44時間が限度(2週間の平均)
連続運転時間 ・4時間が限度

※4時間経過後は、30分以上の休憩をはさむ。休憩は、1回10分以上であれば分割も可

参考|厚生労働省労働基準局 トラック運転者の労働時間等の改善基準のポイント

 

この取り決めにより、長距離トラックドライバーは、なるべく早く到着したいからと、1日に何時間も運転することはできません。

また、休憩も適宜とる必要があります。

 

2-2. バス運転手の場合

 

高速バスや貸切バスなど、長距離を運転することのあるバス運転手も、少し長めの拘束時間が設定されています。

 

【バス運転手の労働時間】

拘束時間 1週間 ・65時間が限度(4週間の平均)

※貸切バスは労使協定を結ぶことで、52週間のうち16週間までは、1週間当たりの拘束時間を71.5時間まで延長可(4週間の平均)

1日 ・13時間以内

※延長する場合は16時間まで

運転時間 1週間 ・40時間が限度(4週間の平均)

※貸切バス・高速バスは、労使協定を結ぶことで、52週間のうち16週間までは、44時間まで延長可。(52週間の運転時間が2,080時間を超えない範囲に抑える)

1日 ・9時間が限度(2日間の平均)
連続運転時間 ・4時間が限度

※4時間経過後は、30分以上の休憩をはさむ。休憩は、1回10分以上であれば分割も可

参考|厚生労働省労働基準局 バス運転者の労働時間等の改善基準のポイント

 

 

つまり1日13時間拘束時間があったとしても、運転は9時間までしかできません。

 

さらに連続運転時間は4時間までのため、4時間ごとに30分の休憩をとる必要があります。

 

2-3. タクシー・ハイヤー運転手の場合

 

タクシー運転手は、日勤・夜日勤・隔日勤務の3パターンの働き方があります。

日勤は一般的な労働者の働き方と同様で、夜日勤は夕方から次の日の明け方まで働く働き方です。

 

比較的多いのが、20時間ほど働いて次の日休む隔日勤務。

ここでは、隔日勤務の拘束時間を確認します。

 

【タクシー運転手の労働時間】

拘束時間 1カ月 ・262時間

※労使協定により1年のうち6カ月まで270時間に延長可

2暦日 ・21時間

※車庫待ちの場合は夜間4時間以上仮眠をとることにより、1カ月7回以内であれば24時間まで延長可

参考|厚生労働省労働基準局 タクシー運転者の労働時間等の改善基準のポイント

 

タクシー運転手は、連続して長時間運転することがトラックやバスほどはないため、連続運転時間などの取り決めはありません。

 

ただし拘束時間は長くなるため、適宜休憩をはさみながら仕事をする必要があります。

20時間勤務の間に3時間ほどの休憩をはさむのが一般的です。

 

3. 運転手の休憩時間の問題点

 

法律上はこのように定められている運転手の労働時間ですが、実際は難しい問題もあるようです。

ここでは、3つの問題点をご紹介します。

 

3-1. 労働時間の管理の問題

 

ひとつ目の問題は「労働時間の管理が難しい」ことが挙げられます。

 

単独で仕事をする運転手は、どうしても「いつ働いて、いつ休憩しているのか」が管理側に見えにくい欠点があります。

 

タコメーターがついている車両でも、休憩なのか渋滞や荷物を搬入する順番待ちをしている停車なのかの判断はできません。

運転手からの自己申告でしか判断できないのが現状です。

 

3-2. 手待ち時間の扱いに関する問題

 

手待ち時間とは、取引先で荷物を搬入する順番待ちをすることや、タクシーが駅や待機所でお客様を待つことをいいます。

とくに近年、トラックドライバーの手待ち時間が非常に長いことが、問題視されています。

 

手待ち時間は、呼ばれたらすぐに移動しなければならないため、自由に時間を使える休憩時間には当てはまりません。

 

しかし会社によっては、この時間を休憩時間に含め、その分ドライバーの残業代を支払わないといった対応をしている場合もあります。

 

3-3. 430休憩の取得に関する問題

 

430休憩とは、トラックドライバーやバス運転手に適用されている「4時間運転後は、必ず30分休憩する」規則のことをいいます。

 

トラックやバスは場所をとるため、どこでも簡単に停められるわけではありません。

ときには、広い駐車場のあるコンビニやサービスエリアなどが満車で停められないことや、渋滞にはまって休憩できないこともあります。

 

このように休憩を取りたくても思うようにとれないことが、健康上も問題があるとして不安視されています。

 

4. 運転手の休憩時間確保のための対策

 

運転手の労働時間は以前から問題視されており、監査でも430休憩や荷待ち時間の扱いが厳しくチェックされる可能性があります。

注意を受ければ、会社としても大きな痛手です。

 

会社側ができる対策としては、手待ち時間の削減のために、取引先との連携の強化や搬入先の予約システム導入などが考えられます。

 

運転手としてできるのは、あらかじめ休憩場所を何カ所かチェックしておくことや、渋滞情報をこまめに確認することなどです。

また、最近では手待ち時間の記録が義務付けられています。

 

人材不足で悩む運転手業界は、今後よりいっそう運転手が働きやすい環境を整備していく必要があります。

何の対策もしない会社は淘汰され、運転手の働きやすさ対策を積極的に行う会社が生き残っていく日が来るかもしれません。

 

5.まとめ

 

安全な運行をするためにも、運転手は定期的に休憩を取りたいものです。

しかし、業務の内容によっては、うまく休憩が取れないこともあります。

 

渋滞や駐車エリアの混雑などを見越し、なるべく適宜休憩を取得できるよう心がけましょう。

 

しかし中には、今の運転手の仕事はハードすぎて、転職を考えている方もいらっしゃるでしょう。

 

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