役員運転手の休息時間の問題点と対策法
2023年02月02日
ドライバー業界では、運転手の長時間労働と、それにともない休息時間が短時間しか取れないことが長い間、問題となっています。
役員運転手も、長時間労働や休日出勤が多いことがしばしば取り上げられています。
しかし、36協定の問題もあり、早急に改善策を検討する必要があるでしょう。
そこでこの記事では、役員運転手の労働時間・休息時間の問題点、十分な休息をとらせるための対策法をご紹介します。
「雇用している役員運転手の長時間労働が気になる」
「役員運転手に十分な休息時間を取らせたい」
とお考えの方は、参考にしてください。
目次
1. 運転手の休息時間とは
「休息時間(休息期間)」とは、勤務と勤務の間の睡眠時間を含む労働者のまったく自由になる時間のことです。
現在、バスやタクシー運転手・トラック運転手に関しては、8時間の休息時間をとることが決められています。
しかし現状の労働時間の長さをふまえ、2024年4月以降これらの職種は、拘束時間の年間の上限をこれまでよりも減らし、休息時間を9時間に増やすことが決められました。
厳密には、9時間以上の休息時間を設けることを義務化、さらに11時間以上を努力義務としています。
2024年には、ドライバー業界で5年間延長されていた「働き方改革関連法による、36協定の時間外労働における罰則付き上限規制」が施行されます。
それと時を同じくして、休息時間の見直しが行われることになったのです。
2. 役員運転手の休息時間の問題点
では、これらの問題は役員運転手にも関わってくるのでしょうか?
実は役員運転手は、すでに36協定による時間外労働の罰則付き上限規制が、2019年4月(中小企業は2020年4月)より始まっています。
つまり、役員運転手はすでに、十分な休息時間が取れていなければならないのです。
時間外労働の上限は月45時間・年360時間。
これは、2024年にドライバー業界に施行される数値よりも、よほど厳しい数字です。
役員運転手は自動車運転が必要な業界とは異なる職種で、一般社員と同様の扱いになるためです。
とはいえ、現状ではなかなか長時間労働を解消できていない企業もあるのではないでしょうか?
役員運転手が抱える休息時間の問題点を確認してみましょう。
2-1. 待機時間に対する考え方
役員運転手の仕事は運転がメインですが、実際に運転している時間はそれほど長くありません。
待機時間の方が長くなる場合があり、その待機時間の考え方が、しばしば問題になります。
待機時間は、「いつでも出発できる状態」で待っている時間です。
つまり、自由に外出ができる休憩時間とは異なります。
ましてや休息時間でもありません。
給与も発生するれっきとした労働時間です。
しかし、何もしない時間に給与が発生することに、不満をもつ方も中にはいらっしゃるでしょう。
待機時間は休息時間ではないため、何かしらの仕事を与えることや、待機時間を減らす方法を考えてみる必要があるかもしれません。
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2-2. 長時間労働になりやすい環境
役員運転手は、役員のスケジュールに沿って仕事をする関係上、夜間の会合や食事会などがある場合は長時間労働になりやすい職種です。
しかも、朝は役員をご自宅まで迎えに行くことから、休息時間はどうしても短くなってしまいます。
待機時間も労働時間であることを考慮すると、36協定で定められた上限を超えてしまう可能性もあるでしょう。
しかし長時間労働で休息時間が短くなると、健康面の不安もあります。
睡眠不足で役員車を運転させるのは危険です。
36協定の時間外労働の上限を守るだけでなく、健康面・安全面を考慮し、十分な休息時間を取らせるための対策をした方がよいでしょう。
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3. 役員運転手に十分な休息時間を取らせるための対策法
役員運転手に十分な休息時間を取らせるためには、長時間労働を改善するしかありません。
そのために考えられる対策を3つご紹介します。
3-1. ドライバーを増やす
考えられる方法のひとつは、ドライバーを増員する方法です。
正社員を2人体制にしてシフト制にする方法や、夜間にパートを1人追加する方法など、さまざまなやり方が考えられます。
人材を増やすため、費用はどうしてもかかってしまいますが、確実に役員運転手が休息をとれる方法です。
3-2. 派遣の役員運転手を依頼する
もうひとつの方法は、長時間になりそうな日が事前に決まっている場合、その時間だけ、役員運転手を派遣会社に依頼する方法です。
役員運転手の派遣会社では、通常の月極契約のほかに、半日・1日単位でスポット契約ができる会社があります。
予約が必要なため、事前に分かっているときしか依頼できませんが、役員運転手としてのスキルのある人材を紹介してもらえるため、安心して任せられるでしょう。
3-3. インターバル制度を導入する
最後の方法は、「勤務間インターバル制度」の活用です。
「勤務間インターバル制度」とは、勤務終了後、次の日の出社まで一定の休息時間を設けることをいいます。
たとえば通常の勤務時間が18時までで、時間外労働を3時間、21時まで勤務したとすると、次の日は通常よりも3時間遅れで出社することになります。
厚生労働省もこの働き方を進めており、2018年7月公布の「働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律」でも、「勤務間インターバル制度の導入が企業の努力義務として盛り込まれました。
役員のご自宅の送迎やスケジュールを調整するといった対策が必要ですが、費用はかけずにできる対策方法です。
4. まとめ
長時間労働になりがちな役員運転手にとって、休息時間の確保は重要な課題です。
36協定の「時間外労働の罰則付き上限規制」を遵守しなければならない問題ももちろんですが、ドライバーの健康面や役員の安全な移動を考えても、役員運転手には、十分な休息時間を確保させる必要があります。
ご紹介した対策法は、費用がこれまで以上にかかってしまうものや、役員のスケジュール調整が必要なものなどもありますが、ぜひ社内で検討してみましょう。
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