運転手の待機時間はどう扱われる?気になる労働時間について解説
2023年08月18日
運転手の労働時間は運転している時間以外にも待機時間などもあるため、残業時間も多く長時間になりやすい仕事です。
勤務中に発生しやすい時間のロスは、労働時間と扱われるかどうかで待遇面にも影響を及ぼします。
そのため待機時間がどう扱われるのかが、気になる方もいらっしゃるでしょう。
そこで、本記事では待機時間と休憩時間の判断基準や、どのような条件だと待機時間が労働時間として扱われるのかを解説します。
運転手の仕事に就いている方や興味がある方は、ぜひ本記事を参考にしてください。
目次
1. 運転手の待機時間の扱いとは
運転手の長時間労働の原因の一つに、待機時間があります。
職種によっては、この待機時間が長引くことがありますが、どのように扱われるのか疑問に感じている方もいらっしゃるでしょう。
ここでは運転手の待機時間について解説します。
1-1. 待機時間とは
待機時間は業務に従事し作業をしていなかったとしても、使用者から指示があった場合はすぐに作業に取りかかれるような状態で待機している時間のことです。
トラックの運転手であれば、荷先ないし配送先の都合や配送時間の関係、先のトラックが荷積荷卸を完了するまで順番待ちをしている時間などが待機時間にあたります。
またタクシーの運転手であれば、お客様を待つ時間が待機時間です。
1-2. 待機時間は労働時間になるのか
収入面を考えると「待機時間が労働時間と扱われるか」は、非常に大きな問題です。
結論からいえば、トラックやタクシーなどの運転者の待機時間は使用者の指揮命令下にあると考えられるため、拘束時間であり立派な労働時間です。
労働時間として扱われるかの判断は、使用者の指揮命令下にあるかどうかがポイントとなります。
2. 運転手の労働時間とは
上記の解説からも分かるように労働時間とは、使用者の指揮命令下に置かれた時間のことを指します。
では労働時間として扱われるのは、どのような時間であるのか、確認していきましょう。
2-1. 運転している時間
荷物や人を運ぶ仕事になるため、運転業務中の時間は「労働時間」になります。
これは運転中に同時にほかのことはできず、使用者の命令に従うのみと考えられるからです。
労働基準法では労働時間が定められていますが、運転手の仕事は運転時間・拘束時間が分かれており、ほかの業種とは勤務の内容が異なるため、時間外労働の上限規制が適用されません。
そのため厚生労働省の定めた「自動車運転者の労働時間等の改善のための基準(改善基準告示)」によって、労働時間の上限が決められています。
ただし職種によって拘束時間と休憩時間・運転時間は異なるため、就職や転職を検討する際には確認しておくと安心です。
2-2. 荷物の積み降ろしの時間
トラック運転手の場合は、荷積み・荷降ろしも運転業務に付随する大切な仕事です。
これは「荷物を運ぶ」のが仕事なので、その荷物を積んだり降ろしたりする作業は必要だからです。
しかし従来、運賃には運送以外の荷物の積み降ろしなどが付帯した業務が含まれていたため、労働時間としての境目が分かりにくくなっていました。
そのため平成29年11月に「標準貨物自動車運送約款等」の改正が行われ、運送以外の仕事を区別し、待機時間・積込・取降を「料金」として明確化するよう規定されました。
2-3. 待機時間
労働時間か休憩時間なのかが分かりにくいのが、待機時間です。
待機時間(荷待ち時間)とは、積み降ろしする荷物を待っている時間です。
待っている間は状況によっては、運転はもちろん、ほかの作業にも従事せず待っているだけのこともあるでしょう。
タクシーの運転手であれば、お客様が乗車するまで待機している時間も同様です。
しかし休憩時間とは違い労働から解放された時間ではないため、何をしていても自由というわけではなく、指示を待っている状態です。
そのため、このような待機時間も、あくまで労働の一環であり拘束時間に含まれるものになります。
3. 待機時間が休憩時間になるかどうかの判断基準
基本的に待機時間は労働時間として扱われますが、場合によっては休憩時間になることもあります。
しかし、どのような場合に休憩時間として扱われるのか、分からない方も多いのではないでしょうか。
ここでは休憩時間と判断される基準を、トラック運転手を例に3つご紹介します。
3-1. 待機中の業務があるか
休憩時間は、使用者の指揮命令下を離れ自由に行動できる時間です。
そのため待機時間中にほかの作業がある場合は、その時間は自由利用できず、労働時間になります。
反対に待機時間中の業務はなく、自由に過ごせる場合は休憩時間として扱われることがあるでしょう。
3-2. 待機場所を離れられるか
待機場所から離れることができるかも、休憩時間になるかの基準の一つです。
待機中に車両の近くから離れられない場合は、場所的に拘束されていることになります。
反対に待機場所から離れて自由に行動できる場合は、休憩時間として扱われることがあるでしょう。
3-3. 作業開始時間が決まっているか
作業開始時刻が分からないと、常に待機していなければなりません。
このような状態は指揮命令下に置かれている状態になるため、労働時間として扱われます。
反対に次の作業時間が明確に決まっている場合は、その時間までは自由に休めるため休憩時間として扱われることがあるでしょう。
4. 運転手に就職・転職を検討する際のポイント
今後、働き方改革によって労働時間が変わっていくことが考えられます。
では、どのような会社に就職すればよいのでしょうか。
これから運転手の仕事に就職や転職を検討する際のポイントを、3つご紹介します。
4-1. 待機時間が労働時間に含まれているか
待機時間は労働時間として扱われることを、ご紹介しました。
しかし会社によっては、この時間を休憩時間に含め、ドライバーの残業代を支払わないといった対応をしている場合もあります。
そのため、そのような行為をしていない会社に就職することは、自分を守ることにつながります。
運転手の仕事に就職や転職を検討する際は、給与体系や労働環境の体制が整っている会社を選ぶことが大切です。
4-2. 福利厚生が充実しているか
長く働く上では給与面や労働環境も大切ですが、福利厚生が充実しているかも重要なポイントです。
住宅・資格など、さまざまな手当があれば基本給がそこまで高くなくても、安定して働くことができるでしょう。
就職や転職を検討する際は、福利厚生の内容にも注目して選ぶようにしましょう。
5. まとめ
運転手の待機時間は、労働時間として扱われます。
そのため運転手の仕事を検討されている方は、待機時間を休憩時間とみなさない安心できる会社を選ぶことが重要です。
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