業務委託で運転手の働き方が変わる!将来性とメリット・デメリットを解説
2024年05月29日
業務委託ドライバーといった新しい働き方が注目を集めています。
従来の雇用形態とは異なり、業務委託契約は自由度が高く、ご自身のペースで働けることが魅力です。
とくに、運転手やライドシェアの業界でこの形態が増えており、多くの運転手が自身のスケジュールに合わせて働き、ワークバランスを実現しています。
一方で、労働者としての身分保証が薄く、安定した収入を得られにくいのがデメリットです。
本記事では、業務委託ドライバーの将来性について、そのメリットとデメリットを詳しく解説します。
業務委託契約を検討している方や、働き方改革に興味がある方にとって、役立つ情報となるでしょう。
目次
1. 一般的な運転手の雇用形態
厚生労働省の「令和4年賃金構造基本統計調査」にもとづき、運送業の雇用形態を算出した結果、総労働者数を100人とした場合の正社員数は57人・正社員以外の人数は43人です。
したがって、運転手の雇用形態は正社員が一般的です。
なお、正社員以外の働き方として、以下の雇用形態もあります。
契約社員 | 就業先と締結する雇用形態 | 原則として1回あたりの契約期間の上限は3年 |
派遣社員 | 派遣会社と締結する雇用形態 | |
アルバイト | 企業と締結する雇用形態 | |
パートタイマー |
※参照:厚生労働省 令和4年賃金構造基本統計調査 第6-3表 雇用形態、性、産業別賃金、対前年増減率及び雇用形態間賃金格差
厚生労働省 さまざまな雇用形態
2. 業務委託で働く運転手の雇用形態とは?
業務委託で働く運転手の雇用形態とは、企業と雇用契約を締結せずに業務を請け負う業務委託契約のことです。
近年では働き方の多様化が進んでいるため、個人事業主として企業と業務委託契約を締結する運転手も少なくありません。
なお、業務委託には2種類あります。
委任契約 | 委任者が法律行為の実施を受任者に委託し、受任者が承諾することで効力を生じる契約 |
請負契約 | 請負人が注文者から請け負った仕事の完成を約束し、その仕事の結果に対して報酬の支払いを約束することで効力を生じる契約 |
※出典:e-GOVポータル 民法第六百四十三条 第六百三十二条
委任契約と請負契約の違いは、運転業務における責任の所在にあります。
委任契約の場合は運転業務の結果に責任を負いませんが、請負契約では運転業務の結果に責任を負う必要があります。
どちらがよいかは、報酬や業務内容などを基準に決定するとよいでしょう。
あわせて、個人事業主ドライバーとしての働き方を把握したい方は、以下の記事も参考にしてください。
3. 業務委託で運転手をする4つのメリット
業務委託で運転手をするメリットは、以下の4つです。
それぞれ解説します。
3-1. ①裁量によっては高収入を目指せる
業務委託で運転手をするメリットは、裁量によって高収入を目指せることです。
業務委託では個人事業主として働くため、労働時間に制限は設けられていません。
たとえば、異なる企業で5時間ずつ働けば、1日10時間の労働も可能です。
働き方次第では、高収入が期待できるでしょう。
あわせて、高収入が期待できる運転手の仕事を把握したい方は、以下の記事も参考にしてください。
3-2. ②複数の企業と契約を締結できる
複数の企業と契約を締結できるのも、業務委託で運転手をするメリットです。
個人事業主は正社員と異なり、複数の企業と契約を結べます。
複数の企業と契約を締結できれば、ご自身が働きやすい条件の企業を見つけることも可能でしょう。
また、複数の収入源を用意することで、失業の不安も解消されます。
3-3. ③スケジュールに合わせて働ける
ご自身のスケジュールに合わせて働けるのも、業務委託で運転手をするメリットです。
個人事業主は自由に休日を決められます。
たとえば、3日間働いて2日間の休日を設けたり、1週間のうち都合のよい日だけ働いたりすることも可能です。
スケジュールを調整しながら働ければ、趣味やスキルアップに使える時間も増えるでしょう。
3-4. ④業務に関する出費を経費で控除できる
業務に関する出費を経費で控除できることも、業務委託で運転手をするメリットです。
企業で定めがない限り、業務委託で運転手をする場合は自家用車を利用します。
そのため、ガソリン代や駐車場代などを経費として計上可能です。
業務に関する出費を経費として計上することで、課税対象となる所得が減少するため税金の支払いを軽減できます。
4. 業務委託で運転手をする3つのデメリット
業務委託で運転手をするデメリットは、以下のとおりです。
それぞれ解説します。
4-1. ①安定した収入にならない可能性がある
業務委託で運転手をするデメリットとして、安定した収入にならない可能性があります。
正社員は安定的に仕事をもらえますが、個人事業主は自ら営業して仕事を獲得しなければなりません。
たとえば、引っ越し業者と業務委託契約を締結する場合、閑散期は仕事がない状態になるケースもあるでしょう。
個人事業主に有給はないため、時期によっては収入が下がるリスクをともないます。
対策としては、トラック運転手や役員運転手など、業種にこだわらず営業することです。
あわせて、プロドライバーに必要な資格を把握したい方は、以下の記事も参考にしてください。
プロドライバーには資格が必要!?必須資格と役立つ資格を徹底解説
4-2. ②年金・健康保険に加入する必要がある
年金や健康保険に加入する必要があるのも、業務委託で運転手をするデメリットです。
社会保険の適用事業所に常時勤務している正社員は、社会保険が適用されます。
社会保険へ加入することで、病気やけがなどで働けなくなった際のリスクに備えられます。
業務委託で運転手をする場合は、社会保険の適用外です。
したがって、年金や健康保険に加入する義務が生じます。
万が一に備えて、労災保険への加入も検討する必要があるでしょう。
※参照:日本年金機構 就職したとき(健康保険・厚生年金保険の資格取得)の手続き
4-3. ③業務に慣れるまで時間がかかる
業務委託で運転手をするデメリットとして、業務に慣れるまで時間がかかることも挙げられます。
たとえば、配達業を担う運転業務においては、多くの荷物を時間内にお客様へお届けするスキルが必要です。
渋滞情報を把握したうえで最短ルートを選定し、安全運転でお客様へ荷物をお届けします。
これらのスキルを身につけるためには、時間を要するでしょう。
対策としては、ご自身の経験を活かせる運転業務に就くことです。
5. 運転業界における業務委託の将来性
運転業界における業務委託の将来性は、今後ますます高まるでしょう。
なぜなら、2024年4月に適用された時間外労働の上限規制と改正改善基準告知により、運転手の労働時間が短くなっているからです。
運転業界においては、これまでも深刻な人手不足が課題でした。
2024年問題により、さらに人手不足は加速するでしょう。
よって、運転業界における業務委託の将来性は、今後も拡大していく見込みです。
6. まとめ
運転業界への転職を検討している方のなかには、業務委託契約を希望している方もいらっしゃるでしょう。
業務委託で運転手をすれば、ワークバランスの実現につながるメリットがあります。
ただし、収入が不安定になったり、健康保険への加入が必要になったりするリスクを把握しておきましょう。
そのうえで、ご自身に合った働き方を選択してください。
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